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難加工材(難削材)とは
難加工材(難削材)とは、加工や切削が容易ではない素材や取り扱いが難しい素材を指します。
その名の通り加工が困難な性質を持つため、素材に合わせた特殊な(あるいは専用の)技術や機械・工具などが必要とされます。
難加工材の特徴
難加工材は一般的に下記のような特性を有しています。
その中には複数の特性を兼ね備えた非常に加工の難しい素材も存在します。
・硬い
硬い素材は製品の耐久性に貢献しますが、加工においては容易に削りにくいため、大きな課題となります。
・柔らかい
柔らかい素材もまた難加工材になります。加工時に変形しやすいため、精密な加工が困難となります。
・粘り強い
切削時の熱や化学反応によって素材が工具に付着しやすく、精度の低下や工具の摩耗を早めてしまいます。
・脆い
加工時に割れやすいまたは欠けやすい素材は加工速度などの条件面だけではなく、クランプする力にも注意が必要です。
・熱伝導率が低い
加工時に発生する熱が逃げないため、工具の摩耗や材料の硬化の原因となります。
・工具との親和性が高い
切削時の切り粉が工具に溶着しやすいため、工具寿命を縮める他、加工精度が出ない原因となります。
・発火・引火の危険性がある
中には着火すると激しく燃焼する素材もあるため、加工の難しさに加えて素材の取り扱いにも注意が必要です。
代表的な難加工材の種類
ステンレス
意外かもしれませんが、様々な分野で広く使用されているステンレスも難加工材になります。ステンレスは熱伝導率が低く加工硬化性が高いため、加工時に発生する熱により加工が困難になります。また、工具との親和性も高いため、切り粉が刃物に溶着しやすいため加工精度が出しにくいことも特徴です。
チタン
難加工材と聞いて真っ先に思い浮かべる人も多いチタンは熱伝導率が低く、高温による化学反応が起きると工具と合金化して工具が摩耗しやすくなる、切削の精度が低下する他に切り粉が発火する恐れもあります。
インコネル
インコネルは耐熱性が高く、高温でも強度が低下しないうえに熱伝導率が低いため、加工が非常に困難な素材として知られています。
マグネシウム
非常に軽く、強度も高い金属です。加工自体は容易ですが、着火すると激しく燃える性質があるため、取り扱いに注意が必要です。燃焼中のマグネシウムに水が触れると爆発を起こすため、火災発生時に水で消化を行うことは大変危険です。
セラミック
非常に硬く、非常に脆いのが特徴です。削りにくく欠けやすいので加工が困難です。
石英ガラス
硬い素材ですがガラスのイメージ通り割れやすく、ダイヤモンド砥粒を電着した工具を使用して浅い切込みで研削するように切削を行うため、加工時間が長くなることが特徴です。
難加工材とMastercam(マスターキャム)
このように難加工材は加工の難しさやリスクの高さがある反面、加工することができれば加工賃は高い傾向にあり、また加工する技術で他社と差をつけることが可能となります。そしてMastercamには難加工材を切削することのできる強力なツールパスと実績がございます。
例として多くの難加工材で問題となる熱については、Dynamic Motionを使用した2Dのダイナミックツールパスと3Dのダイナミックオプティラフが挙げられます。
Dynamic Motionを使用したツールパスは常に切削負荷を一定に制御し、工具の刃部(側面)全体で切削を行います。これにより従来は刃先に熱が集中してしまうところを工具全体に分散できるため、切り粉が工具へ溶着することを防止します。
トロコイド動作のような加工を行うことで、切削と非切削が高速で繰り返されるため、素材の熱を逃がし硬化や化学反応などを抑えることも可能です。また、非切削の動作中に刃先をわずかに浮かせるマイクロリフトを行うため、刃先と素材底面の温度上昇も防止しています。
その他にも切削負荷の変わらない安定した動作は硬い素材に対しても最適な条件を維持し続けるため、加工に適したツールパスと言えます。
Dynamic Motionの他にもMastercamは多種多様な用途に合わせた豊富なツールパスが存在します。
幅広い分野に対応している強力な機能の数々で、前述の難加工材に対する加工実績も多数ございます。