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技術ライブラリー

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CAD(キャド)とは

CAD(キャド)とは、Computer Aided Designの略で、日本語では、コンピュータ支援設計と訳され、製品の設計図を描くための製図ツールのことを指します。これまで手書きだった作業をコンピュータで行い、効率を高めるという目的からきた言葉でもあります。車や航空機から、スマホ、家電製品、などあらゆるモノづくりには欠かせないCADソフトですが、用途によって分類分けされています。

汎用CAD

あらゆる設計に対応したCADのことで、機械・電気・建築・設備・土木など様々な分野で使われているCADソフトの事です。

専用CAD

建築物や、精密な機械図面設計など分野に特化したCADソフトの事です。

機械用CAD(メカCAD)

精密な機械図面を設計することだけに特化したCADソフトの事です。

2DCAD(2次元CAD)

2次元CADソフトは、1960年代にアメリカの計算機科学者アイヴァン・エドワード・サザランド氏が開発したソフトから始まり、この時にオブジェクトといったCADの基本概念も形作られたと言われています。1970年年代には、現在のCADソフトの70%以上の源流だと言われる革新的なソフトがアメリカの情報工学者パトリック・J・ハランティー氏によって生み出されます。

2次元CADとは、手書きで製図していたものが電子化されたものなので、情報は平面図(断面図)が描かれたものを投影図から立体を想像、イメージする必要がありますので、図面を読み解くスキルもある程度必要となります。

3DCAD(3次元CAD)

3次元CADの研究は、1970年代初頭から行われており、最初の3次元CADは1977年に生み出されます。当時は、専用のハードウェアでしか動作しないもので、一部の大手企業以外が手軽に導入は出来ませんでした。コンピュータのダウンサイジング(小型化)やメモリ容量アップなどにより、コンピュータ自体の普及が進むとともに、CADも普及していくことになりました。

3次元CADとは、立体の製図を行う表現方法なので、幅と奥行き、高さの3つの要素からなる物体をそのままコンピュータ上に表現できます。
今では、5軸加工機といった構成が複雑な加工機も使用され、技術力を高める反面、より高度なスキルが必要とされています。5軸加工機であれば、XYZの3軸に傾斜・回転の2軸も加わります。複数の軸を狂いなく制御するためには3DCAD/CAMシステムが必要不可欠です。

また3次元の立体物を3Dモデルと呼び、3つの表現方法があります。

ワイヤーフレームモデル 枠組み(線)
サーフェイスモデル 表面(曲面)
ソリッドモデル 体積(個体)

実物同様の3Dモデルであれば、誰が見ても分かりやすく、コンピュータ上であらゆる角度などから確認もできます。

3次元CADの需要は高まっていますが、2次元CADの需要も根強く残っており、一概に3次元CADが優れているというわけではなく。用途によって使い分けされているのが一般的です。

CADを使用するメリット

どの業界でも技術の高度化や短納期化によって設計の時短・効率化が求められています。そのため手書きの図面作成では対応しきれず、多くの現場でCADが普及してきています。
2DCADを用いれば数値入力で形状を作成するため、手書きの製図と比較して正確で矛盾の発生しない設計を行うことが可能です。
3DCADを用いると複雑な形状であっても立体的に表現することができるので、必要な情報を容易に読み取ることが可能です。
2DCADと3DCADの共通のメリットとして、図面のデータをデジタル化することにより、情報の共有が容易となり設計変更や図面の修正も容易にできます。

CADによる違いや特徴

CADは製造業や土木・建築・建設業など、様々な分野において用いられています。
基本的な機能に大きな違いはありませんが、業界や業種によって設計や製図の規格が異なることから、CADも分野ごとに専用の機能を有しています。
例えば建築用のCADであれば階段や窓の入力、大きさの変更が容易にできます。製造業向けのCADであれば表面粗さを指示する”▽記号”など、加工に必要な情報を記入する機能があります。

製造業向けのCAD

製造業向けのCADは部品設計を行い、それを基に機械加工や組み立てを行うことを目的として作られています。
現在は3DCADを用いた設計が増えてきていますが、加工を行う現場への細かな指示(表面粗さや交差など)をするために2Dの図面は必要となる場合が多く、製造業向け3DCADの多くは2Dの図面作成機能を搭載しているものが多数存在しています。
また、製造業においては設計の初期段階からCADを利用しており、その役割は製図や3Dモデルの作成だけではなく、部品同士の干渉や可動部の検証など多岐に渡ります。
特に自動車や航空機業界では部品点数が多く、複雑な構造をしていることから、ハイエンドCADと呼ばれる高性能なCADが多く用いられています。
もう一つの特徴として、製造業ではCADで作成された形状を基にしてCAMやCAEなど他のソフトウェアと連携して使われています。